走行車両の軸重値推定法の小型実験機を用いた精度検証

摘要

過積載車両とは，規定の積載重量を超える荷物を積hだ車両を示す.この過積載車両は，制動力の低下による重大事故の誘発，路面や高架施設への悪影響など，様々な問題を引き起こす.今日，軸重計と呼ばれる計測装置が高速道路の料金所手前に設置されている事が多い.軸重計とは，走行車両の前軸と後軸の荷重を計測するものである.それらを計測することによって過積載車両の監視やそれらへの警告が行われている.軸重計は図1に示すように，検出部は載荷板と複数個のロードセルから構成されている.載荷板の長さは，2軸が同時に載らないようにタイヤの直径とほぼ同じ寸法で設計されている.軸重計検出部から得られる信号（荷重信号と呼ぶ）は，タイヤが載荷板に乗り込むと同時に立上がり，立ち退くと同時に0に戻る.タイヤが完全に載荷板上にあるときの信号の部分を有効部と呼ぶ.通常，走行車両は振動しており，有効部にはそれに起因する振動成分が含まれている（図2).さらに，ETCの普及により，高速走行での軸重値の計測が要求されているが，高速になると軸重値検出部から得られる信号も短くなり，より一層精度良い軸重値を得ることを難しくしている.