循環器系·神経系の連成解析による心臓血管器系疾患患者の運動時循環機能の評価

摘要

大動脈弁狭窄は無症候性の場合が多く，診断が難しいと言われている．現在，大動脈弁狭窄の臨床的診断基準は大動脈の有効面積と，左心室と大動脈の間の圧力差である．ただし，大動脈弁を通る血液の量の減少により，左心室と大動脈の間の圧力差が小さい場合，大動脈弁狭窄があるにも関わらす，左心室と大動脈の間の圧力差の上昇が見られず，大動脈弁の手術適応の判断が難しい．そこで，臨床では薬や運動テストを用いて，一時的に心機能を上昇させて評価しようとしているが，まだ良い指標が確定されていない．そこで，本研究では0次元集中モデルを用いて構築した心臓血管器系モデルと1次元線形モデルを用いた自立神経系モデルのカップリングモデルを用いて，さらに，1次線形近似を用いた運動モデル及び大動脈弁狭窄モデルを構築し，計算力学の視点から大動脈弁狭窄の新たの評価基準を提案することを目的とする．