配管減肉予測ソフトウェアFALSETにおけるFAC予測モデルの検証

摘要

発電プラントの系統配管で発生する減肉現象である流れ加速型腐食（FAC）と液滴衝撃エロージョン（LDI）に対しては，日本機械学会（JSME）の規格に則り，配管の肉厚検査に基づく減肉率·余寿命の保守的な評価により管理されている．このJSME規格の定期的な改訂に向けたロードマップの中には，発電プラントの更なる安全性向上や管理の高度化を目指して，現象のメカニズム解明に基づく減肉予測手法の導入が位置付けられている．これまでに当所ではFAC/LDIによる詳細な減肉傾向を評価できる予測手法（以下、詳細手法）を構築し，これを基に発電プラントの配管減肉管理にて簡便に利用できる配管減肉予測ソフトウェアFALSETを開発した．今後の規格化·実用化に向け，予測精度の向上や機能拡張が必要であり，これには実機プラントデータを用いた検証が不可欠である．本報告では，国内PWRプラント二次系復水·給水系統の肉厚測定データを用いて，FALSET のFAC予測モデルの検証を実施し，減肉率および残余肉厚に対する現状の予測精度と課題を明らかにする．