プレス成形による繊維角度変化を考慮した 連続繊維強化CFRTP成形品の強度予測

摘要

熱可塑樹脂をマトリクスとする炭素繊維強化CFRTPは，プレス成形が可能であることから，短時間成形が期待されている．しかし，連続繊維で強化された複合材料の機械的特性は内部構造に強く依存することから，プレス成形によりCFRTP中の繊維の方向や交差角度が変化すると，これに起因して成形品の強度が箇所によって異なることが起こりうる．したがって，プレス成形品の実使用のためには，成形プロセスの影響を考慮した成形体の強度予測が不可欠となる．そこで本研究では，直交織物炭素繊維で強化されたCFRTPシートを熱プレスにより絞り成形した半球形成形体について，これに内圧を負荷して破壊試験を行うことにより強度評価した．まず，強度に一番影響が大きいと想定される繊維交差角の変化について，成形後の繊維交差角の位置による差を明らかにするとともに，ファブリック要素を用いて数値計算を行い，実験結果と比較した．繊維交差角変化の強度への影響を確認するため，破壊起点と繊維交差角の関係について検討した．次に，繊維交差角の変化が同じであっても，成形性の違いに起因する強度変化について，しわ押え力および型温度の成形パラメータを変化させて成形し，成形体の強度の差について検討を行った．