高強度鋼の水素脆化評価技術と破断形態

摘要

自動車分野では部品の軽量化や高機能化,土木·建築分野では施工省略化の観点から，鉄鋼材料の高強度化のニーズが従来にも増して強まっている。鉄鋼材料の高強度化を阻害している要因の一つは，水素脆化である。水素脆化の代表的な例は，かつてF11T高カボルト（引張強さ1100MPa級）で問題となった遅れ破壊である。水素脆化は，腐食等によって外部から鋼材中に侵入した極微量の水素に起因して発生し，鋼材強度や負荷応力が高くなるほど水素脆化感受性は増加する。最近，高強度鋼の水素脆化の克服に向けて，鋼材開発が活発化している。