金属間化合物における高温酸化の基礎と実際

摘要

1970年代の後半から1980年代にかけて金属間化合物の研究が非常に活発になった。これはそれまで、単なる好奇心からの研究対象であり、また脆いため避けるべきあるいは制御すべき対象であった。その利点としては、時効硬化アルミ合金の例にみられるように析出強化相としての利用がある程度であった。しかし、Ni_3Alの研究で、本質的に脆くないものがあることが示されてから、構造材料の候補として研究対象が急激に広がった。高温構造材料としては比強度の高いものが有利である。他の材料も含め、それを図1に示す。また、機械的性質の研究のみならず高温酸化の本格的な研究も始まった。金属間化合物の高温酸化だけの国際会議も開催されているし、金属間化合物を含めた国際会議は頻繁に開かれている。ここでは、金属間化合物の高温酸化の基礎を概説し、最新のデータも含めアルミナイドの酸化について述べる。構造用金属間化合物としてはべリライドやシリサイドもあるが、時間の都合で省略する。以後、簡略化のため金属間化合物を化合物と表す。