水膜の組成および厚さにおよぼす湿度の影響

摘要

熱力学データとして豊富に揃っている平均活量係数ならびに溶解度、密度のデータを用いて、強電解質水溶液と平衡する大気の相対湿度が算出できることを示した。本手法は、海塩が吸水してできる水膜のような、錯イオンを形成しない多成分系にも適用可能である。海塩付着量Ws≧10~(-2)g/m~2の場合、水膜の組成は海塩付着量に依存せず湿度により決定され、水膜厚さはWsに比例して増加し、NaClが溶解するRH75%で急激に変化する。Ws＝1g/m~2の場合、NaClが溶解するRH＞75%では水膜厚さは3～30μmであるのに対して、NaClが析出するRH＜75%でのそれは0.7μm以下に留まる。