軟弱斜面横断時における車輪の二次元応力分布の計測

摘要

近年，主要先進国において，月·惑星移動探査ロボット（ローバー）を用いた惑星探査が計画されている．ローバーの探査対象である月や火星などの地表面は，細かな砂で覆われた軟弱土壌であり，車輪のスリップが容易に引き起こされる．車輪がスリップすると，目標経路への追従を困難にするだけでなく，最悪の場合，ローバーの車輪が土壌に埋まって身動きが取れなくなる．実際，2004年に火星に送り込まれた米国NASA／JPLのMars Exploration Rover（Spirit）は，2009 年，砂地を通過しようとした際に，車輪が砂に埋もれ，身動きが取れなくなった．2010年には，砂地からの脱出を断念し，その後は静止観測に切り替わることとなった．