ステンレスに対する硫黄系極圧剤の吸着挙動および反応膜組成の解析：Cr含有率の影響

摘要

高温·高圧の摺動条件下において、相対する金属表面間では摩擦が大きくなり摩耗が生じる。それを防止する目的で、極圧剤が添加される。硫黄系極圧剤は熱分解で金属表面に反応膜を形成して摩擦低減効果を示すが、硫黄と反応性に乏しい金属に対しては有効に作用できないとされてきた。しかし、金属表面への吸着性に優れた極圧剤を用いると、反応性の乏しい金属に対してでも良好な摩擦低減効果を示すことから、反応性だけでなく吸着性も重要な因子であると考えている。本研究では、硫黄との反応性が乏しいCrを含有するステンレスに対する硫黄系極圧剤の吸着挙動と反応膜組成を解析することで、Cr含有率の影響を評価した。Crは含有率が増加すると表面に濃縮する性質を有することから、硫黄系極圧剤の性能に影響すると予想した。