工作機械と医工連携

摘要

人工股関節は，1960年代より英国のCharnleyなどの研究開発により，広く世界で使われている．この分野では，需要の先行もあり，現在でも日本で利用されている人工関節の多くは輸入品である．海外製の人工股関節の多くは，欧米の大人の骨格に向けて作られてきた．日本人には，特有の大腿骨のねじれの課題があり，さらに，畳で生活するといった独自の生活様式がある．また，人工関節の寿命は15年から20年程度で，人工関節にゆるみなどが生じた時には再手術により人工関節の入れ替えをする必要がある．上記の課題に対して「オークマ·メディカルマシニング寄附講座」では，人工関節の長寿命化と日本人の生活様式に適した形状を有する人工関節開発システムの構築を目的とした研究を進めている．まずは，日本人特有の問題が生じやすい人工股関節に着目して研究を進めており，人工股関節の寿命を決めるといわれる3要素，1．人工関節のゆるみ，2．脱臼，3．関節部の摩耗を改善する人工股関節のステムの形状について，構造解析と実験を通して得られた知見をもとに研究開発を進めている．