純銅管のアンモニア溶液中における応力腐食割れ再現試用

摘要

銅は熱伝導性，加工性、耐食性に優れることから、空調、冷凍機の熱交換器や配管材料として広く用いられるが、使用条件によっては応力腐食割れ（Stress Corrosion Cracking，以下SCC）が発生する場合がある。これまでに、純銅管のSCCについて、C-リング試料を用いた再現試験方法やSCCにおぼすリン含有量および超質の影響について調査が行われた．これらの結果より、アンモニア気持相中でのC-リング試験により純銅管のSCCを再現できること、銅中のリン含有量および調質によってSCC感受性が変化することなどを明らかにした。しかし、従来の表面観察や直径回復率（Diameter Recover y rate）測定による判定方法では容易にSCCの発生を判定できる利点があるものの、試験終了後に判定を行うため試験中の腐食の進行状況や腐食速度を定量的に評価することはできない．そこで著者らは腐食挙動の調査を電気化学的に解析する必要があると考えた。電気化学測定では腐食中の電位·電流測定により腐食状況や腐食速度を即時的かつ定量的に評価が可能となる。しかし、これまで定ひずみ試験において液相中でのSCC発生および電気化学測定による調査が行われた例えはない。本研究では純銅に発生するSCCを電気化学測定によって解析するための前段階として、純銅管を用いたアンモニアを含む溶液中でのC-リング試験によるSCC再現を試みた。