カソード防食障害を考慮した新しいカソード防食設計法の検討

摘要

従来、パイプラインのカソード防食設計は、損傷程度の指標である塗膜抵抗を設計条件として設備容量や設備の設置間隔等を決定していた。近年、塗膜抵抗の設計値は、塗覆装品質や施工技術の向上に伴い、実測値と大きくかけはなれている状況にある。また、実際のパイプラインには、直流電気鉄道（電鉄）の軌条漏れ電流の影響、他カソード防食設備を適用した近接構造物（他埋設管）による干渉の影響、他埋設管との接触や絶縁継手不良等の低接地事故、外部電源装置の故障等が生じる場合がある。本報ではこれらをカソード防食障害と呼ぶことにする。現状の設計法では電鉄や干渉の影響のみ設計に反映していたが、他のカソード防食障害に対しては考慮していなかった。但し、現状の設計法でも塗膜抵抗の実測値と設計値との差によってある程度のカソード防食障害には対応できている状況にはあった。本報では、塗膜抵抗の実態を明らかにし、実態に即した設計値を提示するとともに、カソード防食障害に対応した設計モデルによる新しいカソード防食設計法の検討を行なった。