フッ素樹脂塗装金型による純チタン板の無潤滑絞り成形

摘要

チタンは比強度が高く、耐食性および耐熱性に優れているため、比強度·耐熱性を必要とする航空宇宙機器、耐食性を必要とする船舶、化学工業、製鉄所などの産業機器、近年では、医療用機器、スポーツ·レジャー製品、腕時計メガネなどの民生品など、様々な用途で使用されている。特に、耐食性とともに軽量化を期待出来るため、二輪バイクのマフラや四輪のエンジン部品などの輸送機器への適用が増加している。しかしながら、チタンは他の金属との親和力が強く、成形時の工具との焼付きが起こりやすい。深絞り加工では、純チタン板の焼付き防止法として、二硫化モリブデン、ポリエチレンフィルム、無機塩系プレコートなどの潤滑剤系や、チタンの酸化皮膜処理が有効であると報告されているが、地球環境問題、すなわち環境負荷低減やコスト削減への対策として、無潤滑での加工方法が求められている。そこで、本研究では、フッ素樹脂膜をコーティングした金型を用いて、純チタン板の無潤滑絞り加工についての検討を行った。