感圧·感温塗料を用いた圧力·温度複合センサの開発

摘要

感圧塗料(Pressure-sensitive paint: PSP)の計測精度を向上させる上で，PSP の温度感度を補正することが重要である．そのためにはPSP の表面温度の計測が必要であり，その温度センサとして感温塗料(Temperature-sensitive paint: TSP)が有望である．これまでに両塗料を単純に混合した混合型の複合センサ，TSP 上にPSP を塗布した多層型の複合センサが提案されている．しかし混合型の複合センサでは色素分子間の相互干渉の影響が，多層型の複合センサでは膜厚の増大による計測精度の低下が懸念されている．そこで我々はこのような問題を解決する新たな複合センサとして，PSP とTSP をドット状に塗り分けた複合センサを提案した．ドット配列センサはPSP とTSP を物理的に分離塗布するため，両色素分子間の相互干渉の問題が解消され，膜厚も吐出量を調整することで調整可能である．本研究では感圧色素，感温色素として，それぞれPtTFPP，発光性の半導体ナノ粒子を用いたドット配列センサ作製し，様々な温度下における圧力感度，様々な圧力下における温度感度を調査した．その結果，圧力感度，温度感度はそれぞれ温度，圧力に依存しないことが明らかとなった．