航空機高揚力装置フラップ端形状円形化による空力騒音変化に関する研究

摘要

航空輸送需要の増加と環境負荷低減への関心の高まりに伴い，空港周辺における航空機騒音規制が年々強化されつつある．近年では旅客機のエンジン低騒音化が大幅に進み，特にエンジン出力を抑えた着陸時には機体空力騒音がエンジン騒音を卓越する事もあり，機体空力騒音低減の重要性が増してきている．機体空力騒音源としては，脚と並び，航空機が離着陸時に展開する前縁スラットや後縁フラップなどの高揚力装置が主要な騒音源となっている．フラップに関する過去の研究において，フラップ端部から成長するせh断層と渦の不安定性による複合的な非定常的流れ場がフラップの主騒音源である事が風洞試験における音源探査や数値流体力学(CFD)解析結果との比較などを通じて報告されている．端部形状を修正する，又は端部にデバイスを設置する事によりフラップ端騒音を減らす例も報告されている．フラップ端部から発生する渦構造を変化させることにより，騒音が変化する事が期待されるが，低騒音化設計指針を得るためにはその流れ場構造と騒音変化との関係を明らかにすることが重要である．しかしながら，多翼素形態である高揚力装置展開形態は微小な隙間などが存在するため計算格子生成が難しく，これまで非定常数値解析により詳細に流れ場構造を調べた例は数少ない．そこで本発表では，JAXA 高揚力装置騒音研究用模型OTOMO 用いて，基本的な切り落としフラップ端面形状に対して，端面形状を円形化した場合のフラップ端部から発生する渦構造変化と遠方場騒音の変化を風洞試験とCFD により調べた結果を報告する．