デジタルハンドにおける操作力推定の為の指の生体力学モデルの構築(第2 報) -生体力学モデルの改善

摘要

情報機器·工具·容器など人間に把持される製品では，エルゴノミクスに配慮したデザインが，付加価値や競争力向上に効果的である．しかし現在，把持しやすさ等の評価は官能検査で行われ，客観性，定量性に乏しく実施コストも大きい．そこで，手の3 次元モデル(デジタルハンド)により製品CADモデルの把持姿勢を推定し，「把持しやすさ」を定量評価出来る仮想エルゴノミクス評価技術が提案されている．しかし，この研究でも，把持しやすさや把持時の疲労に深い関係を持つと思われる，把持時の手指の発揮力や，筋腱の発揮力は評価されていなかった．そこで本研究では，デジタルハンドによる「把持しやすさ」の推定精度向上の為，指の筋骨格を表す生体力学モデルを導入し，このモデルに基づき製品把持時の手指発揮力と筋腱力を推定する事を目的とする．前報では，指の生体力学モデルを導入し，非線形最適化問題により筋腱力を推定する手法を提案した．本報では，指の筋骨格構造を改良し，製品把持時の筋腱力の推定精度の向上を試みたので報告する．