FEM 解析を適用した直動ボールガイドシステム負荷分布理論の研究 第2 報

摘要

一般に直動ボールガイド (LMBG) の開発では，剛性や定格荷重といったLMBG 単体の性能向上に目が向けられ，それらの性能指標に対して評価·検証を行い市場に投入されることとなる．しかしながら，LMBG を使用するユーザーの視点にたつと，部品単体の性能が実機の寿命や運動精度にどう反映し，どの程度の結果が見込まれるのか，あるいはシステムをとりまく環境や周辺部品がLMBG にどhな影響を与えるのかを知りたいというのが本音ではないだろうか．このギャップを埋める第一歩としては，LMBG 単体の理論から使用条件を想定した複数のLMBG で支持される一軸の送り装置 (LMBG システム) への理論拡張が必要となる．著者らはこれらの課題に対して，大きく2 つのStep に分けて研究に取り組hできた．まず，1st Step では "LMBG 単体解析の精度向上" に取り組hだ．これはLMBG 理論解析の基礎とも言える負荷分布理論にキャリッジやレールといった構成部品をFEM モデルとして適用するという試みであり，これにより従来よりも大幅な解析精度向上がなされた．さらに，それらの理論を用いてキャリッジの変形挙動を分析し関数化を行うことによって，FEM を用いずとも良好な解析精度が得られ，解析コストも大幅に低減したキャリッジ剛性近似モデル負荷分布理論の確立に到った．続いて2nd Step では "LMBG システム解析の精度向上" に取り組hだ．これは上述したキャリッジ剛性近似モデル負荷分布理論をLMBG システムとしての負荷分布理論に拡張したものであり，加えて運動精度や寿命に与える影響が大きいとされるテーブルをFEM モデルとして適用することによって，テーブルを弾性体として扱ったテーブルFEM モデル負荷分布理論3) を構築した．本報では，このテーブルFEM モデル負荷分布理論の妥当性評価を目的として簡易的なLMBG システムによる試験を実施し，理論値と実測値の比較および検証を行った．また，本試験条件においてテーブルの変形がシステムの寿命に及ぼす影響をシミュレートした結果もあわせて報告する．