マルチメディアコラボレーションによるリモートメンテナンスシステムの構築（第４報）現場端末用ハンズフリー型コンピュータの開発

摘要

工作機械などの機器メーカがインターネットなどにより，保守拠点からユーザ側工場の機器の制御装置画面を閲覧しながら保守を行うリモートメンテナンスの仕組みを活用しはじめている．しかし，これらの仕組みは機器メーカ毎に開発しているため，異メーカの機器が混在する工場への画一的な適用が困難である．また，これらの仕組みは制御装置の画面を閲覧する方式が主であるため，機器の姿勢，ワークなどの周辺リソースの状況までは把握できず，故障診断に手間がかかる場合がある．さらに，ユーザが保有する保守説明書，サービス会社が経験から作成した保守手順書，およびユーザが蓄積した保守記録などの分散したドキュメントを管理して，必要に応じて検索して利用する仕組みが欠如している．そこで，前身研究において，標準技術により異メーカ，異機種，異世代（新·旧）機器情報の取り扱いと，製造実行システムの情報との相互連携が可能な工場内情報連携環境を開発して，ユーザが遠隔監視システムなどを自在に構築するための仕組みを開発した．また，本環境のアプリケーションとして，マルチメディアで機器監視を行う3-D表示遠隔監視システムなどを提案した．さらに，本研究ではこれらの研究成果を活用しつつ，遠隔監視システム，分散したドキュメントを管理·検索するためのドキュメント管理システム，およびそれらの情報をTV会議などにより拠点間共有して遠隔保守支援を行うマルチメディアコラボレーションによるリモートメンテナンスシステムの研究を行っている．本研究では，これまでに3-D表示遠隔監視システムの3-Dモデルや監視情報と連携したドキュメント管理システムについて提案した．また，監視の表示情報から検索する仕組みも開発した．本報では，本マルチメディアコラボレーションによるリモートメンテナンスシステムの概要について述べる．また，本システムにLAN接続したパソコン本体から，無線LANにより周辺デバイスのみ分離して携帯することで端末を軽量化し，高速処理可能なハンズフリー型コンピュータを開発したので報告する．