新しい通信技術を活用した保護リレーシステムの設計合理化策（その1：保護リレーシステムへのIP ネットワークの適用）

摘要

通信技術を利用する保護リレーシステムでは，保護システムとしての信頼度確保の観点から専用線でネットワークが構築されており，またそこで使用される伝送装置も保護方式や保護性能に応じて様々なものが適用されている。特に送電線保護リレーシステムに幅広く適用されているPCM （Pulse Code Modulation：パルス符号変調）電流差動リレーでは，各端子でサンプリング同期制御を実現するために通信側へ厳しい性能を要求しており，その性能を実現するために保護リレー専用の伝送装置も適用されている。一方で近年のインターネットの普及などによる通信技術の進展に伴い，保護リレーシステム用通信においてもIP ネットワークの適用が期待されている。保護リレーシステムに IP ネットワークを適用することが可能となれば，仕様設計における設計合理化を図ることができる。本稿では，通信側への要求性能が厳しいPCM 電流差動リレー方式への IP ットワーク適用について検討した結果を述べる。