雷·雷害対策技術の現状と将来課題

摘要

本稿では，雷·雷害対策の現状について述べた。以下では将来課題について述べ本稿の結びとする。再生可能エネルギー発電の導入によりレセプタや接値抵抗が注目を集めたように，社会のニーズが変化するにつれて新たな機器が導入され，その都度，効率的な雷害対策を考案していく必要がある。その際には，避雷器を含めたSPDが対策において主流になるものと考えられるが，季節や地域差に加えて，ばらつきの大きい雷現象への効果的な対策を検討する際には，現状に即したシミュレーション手法の確立が必要になると考える。雷対策を講じるためには，雷性状を正確に把握する必要があり，本稿で一部紹介した，LLSで推定が困難な電荷量や電流波形の再現などが，課題となるものと考えられる。また，雷サージに脆弱な電子回路を使用したICT機器が普及するとEMC（Electromagnetic Compatibility）的な問題が発生し，フリーズ現象等が顕在化する事が予想される。これに対応するためには雷電流のしゆh度を正確に把握する必要がある。本稿の内容は，著者が静岡大学において横山茂客員教授や歴代の研究室メンバと共に，九州電力㈱及び㈱フランクリン·ジャパンと共同研究として実施してきた内容を取り纏めたものである。関係各位に深甚なる謝意を示し本稿の結びとする。