脱炭素社会実現に向け太陽光発電(PV: Photovoltaic)システムの普及が進hでいる。非同期発電機であるPVなどのインバータ電源の連系に伴い,送電系統事故時における電圧安定度の維持に必要な無効電力量の増加が予想され,その無効電力をいかに確保するかが課題となりつつある。この対策として,瞬時電圧低下時運転継続(VRT: Voltage ride-through)機能と動的電圧維持(DVS: Dynamic voltage support)機能をPVに具備することによる無効電力供給量の確保が期待されている。PVは配電系統への連系が顕著であり,多数の配電系統が送電系統に接続することから,系統事故に伴う瞬時電圧低下(瞬低)中に,配電系統において供給される無効電力が系統安定性向上に寄与できると考えられ,PV連系配電系統から送電系統へ流れこむ無効電力の定量的評価が重要である。これまで,PV連系配電系統における無効電力出力量は,多数のノードからなる配電系統を1ノードに集約した縮約モデルを用いて評価されてきた。しかし,VRT·DVS機能が具備されたPVから供給される無効電力量は,各PVの受電点電圧に依存することから,系統内の電圧分布を考慮できる詳細な配電系統モデルで無効電力出力を評価することが求められる。さらに,PVはインバータの空き容量を活用し無効電力を供給すること,また,系統への大電流注入を防ぐため受電点電圧が閾値を下回った場合に出力を停止することから,PVの発電状況や,事故の電圧降下量を考慮した無効電力供給量の評価が必要となる。
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