高温超電導SQUIDセンサを用いた磁性材料非破壊検査装置の開発

摘要

極めて高感度な磁気センサであるSQUID （Superconducting Quantum Interference Device：超電導量子干渉素子）は、心磁計などの医療応用に加え、金属資源探査や非破壊検査を目的とした磁気センサとして利用されてきた。我々はこれまで、渦流探傷の技術とSQUIDを組み合わせた非破壊検査装置を開発してきた。渦流探傷は、電磁誘導の原理を利用し、欠陥によって生じる迂回電流を磁場の乱れとして観測する手法である。SQUIDは、渦電流が材料深くまで侵入できる低周波でも高い磁場感度をもつため、深部欠陥の検出が期待できる。我々が以前に開発した非破壊検査システムを用い磁気を帯びていないアルミを対象とした試験を行った結果、30mmを超える深さにある長さ30mmのスリット状模擬欠陥を検出に成功している。このようにSQUID非破壊検査システムは高い性能を持つが、鉄等の磁性材料や表面の一部に磁気を帯びた実用金属材料の診断時にはセンサが正常動作せず、これまで非破壊検査の実施は困難であった。今回、鉄等表面が強く帯磁する磁性材料の非破壊検査を可能とする新型SQUID非破壊検査装置を開発したので報告する。