広域·迅速放射線モニタリング技術の現状と展望

摘要

2011年3月11日に東北地方太平洋沖地震により太平洋沿岸に来襲した巨大津波を起因として発生した東京電力（株〕福島第一原子力発電所（以下，福島第一原発という）事故により，様々な放射性物質が広い範囲にわたって拡散した。日本原子力研究開発機構（以下、原子力機構という）は，事故直後から，我が国の原子力の総合研究機関としての総力を挙げて，福島県内の環境モニタリングをはじめ，放射性物質の拡散状況の調査，技術支援等を行ってきた。2011 年5月には原子力機構内に福島支援本部（現在，福島技術本部）を設置し，福島第一原発事故の最終的な収束に向けた中長期的な技術的課題に貢献すべく，さまざまな活動をしてきた。その中で，大規模に放射性物質が拡散した状況の中で，迅速に放射性物質の分布状況を把握するために，航空機モニタリングや無人ヘリを用いた“面”的な広域サーベイ等を行ってきた。