9Cr－1Mo鋼におけるM_(23)C_6析出物の様相変化に対するボロンの影響

摘要

蒸気湿度、圧力をそれぞれ973K、35MPaに向上させた次世代石炭火力発電システムである973E級超々臨界圧(A－USC）発電システムでは、USC発電システムと比べて二酸化炭素排出量を約10％削減できるとされる。この蒸気温度の上昇により、923E以上の構造部材には、Ni基合金もしくはNi-Fe合金の適用が検討されているが、建設コスト削減のため、923K以下の構造部材には新規開発のフェライト系耐熱鋼が使用される。そこで物質·材料研究機構では、ボロンを添加し、窒素量を抑制した高B－9Cr鋼（MARBN鋼）を開発し、既存鋼に比べて、A－USC発電システムの蒸気条件に耐えうる耐熱温度の向上を達成した。また同鋼は溶接後の組織変化が小さく、細粒熱影響部の形成を抑制するため、既存鋼溶接材で観察されるTypeIV破壊が防止され、溶接後の早期破断を解決することにも成功した力。