自動車内装部品操作音のヘッドホン受聴による音質主観評価に関する一考察

摘要

筆者らはこれまでにコンソールボックス閉音や集中ドアロック作動音を題材に音質主観評価を行い，印象評価構造を解明すると共に，管理すべき物理指標値を明らかにして来た．当研究での音質主観評価は聴覚刺激のみのヘッドホン(HP) 受聴で実施しており，類似の音質評価研究でもその評価はHP受聴による試行が多い．しかしながら，実際の車両では聴覚刺激のみならず視覚や触覚刺激を総合解釈して印象判断しているはずである．即ち，聴覚刺激のみを提示するHP受聴評価では，実音評価との間に評価の乖離が生じる可能性が疑われる．特に，高級感や好き嫌い等の高次の印象判断は刺激の総合解釈であり，適正に評価が可能か否かが懸案である．本研究では様々な操作音を対象にHP受聴による音質主観評価と実車による音質主観評価の結果を比較し，HP受聴による音質主観評価の適用範囲を調査した．なお，本研究で実施した全ての音質主観評価実験はJSAEの「人を対象とする研究倫理ガイドライン」に準じて実施している．