モード走行時のタイヤ損失特性の評価方法と燃費影響予測への応用－タイヤ単体評価法の実車相関性およびタイヤによるエネルギー消費への影響度

摘要

ここ数年の間にタイヤメーカー各社は，燃費改善に効果があるという高効率タイヤ，いわゆるエコタイヤを数多く市販するようになり，ユーザーはその効果に注目している．エコタイヤの燃費効果を評価するには，公式の試験法により車両を使った燃費測定が本来必要である．この燃費試験は，車両の走行抵抗を測定する試験路での惰行試験とモード燃料消費量を測定するシヤシダイナモ試験から成る．しかしこの試験法は，多くの時間や人工を要する上に広大なテストコース，高額な試験設備が必要となる．つまり多種のタイヤの性能比較には不向きな評価法である．そこで筆者らは，燃費影響まで含めたタイヤの実性能を確実かつ簡易的に評価するための試験手法，解析手法を検討してきた．本研究では，回転数，トルク，垂直荷重，周辺温度を変化させてタイヤの動的試験が行える「先進多機能タイヤ試験システム（Advanced Multifunctional Tire-testing System」（以下，AMTSと記す）を用いて，車両のモード走行と等価なタイヤの動作を再現し，その時のタイヤ損失量を測定してタイヤを性能評価する手法を開発した．この手法を応用して，タイヤの燃費影響度を予測する手法も提案した，AMTSの構造を図1に，仕様を表1に示す．第2報では，標準タイヤおよびエコタイヤを装着した車両を試験路惰行試験して求めた転がり抵抗と，同じタイヤをAMTSで試験して求めたころがり抵抗を比較して，AMTS試験結果の実車相関性を調べた．その結果を基に，タイヤ交換した車の路上ころがり抵抗をAMTS法の測定値から討算する補正方法を示した．一方，各種走行条件下におけるタイヤ損失が車両の全エネルギー消費に占める割合をガソリン車と電気自動車について計算し，タイヤの燃費影響度を比較したので，それらの結果を以下に報告する．