Diesel Oxidation Catalystの数値解析の研究（第4報）－HCの種類及び供給濃度が酸化反応挙動に及ぼす影響の実験的解明

摘要

現在，ディーゼルエンジンの排気ガス浄化システムDiesel Particulate Filter（以後，DPFとする）で捕集された粒子状物質(Particulate Matter以後，PMとする）の強制再生には前段に設置されたDiesel Oxidation Catalyst（以後，DOCとする）に炭化水素Hydrocarbon，以下HC）を供給し，酸化させることで排気温度を上げてPMの酸化を促進する制御（強制再生）が行われている．しかしながら，強制再生において，排気温度の低い運転条件ではDOCの失活や供給されたHCを原因とする白煙を回避するために再生完了に時間が掛かり，燃料消費とのトレードオフの関係にある．そのため，触媒システム開発において最適な触媒諸元を決定するための試験工数や開発コストの負担は大きい．その低減のためにDOC内部におけるHC酸化反応を予測するモデルをシステム設計や適合に活用することが期待されているが，現状では実際の運転条件でDOC内部の反応を高精度に予測できるモデルは存在しない．そこで本研究は，実際の強制再生条件においてDOCにおけるHCの吸脱着·酸化特性を実験により正確に把握した上で，数値シミュレーションにより現象の再現を行い，強制再生のためのエンジン運転制御や触媒諸元を提案することを最終の目的とする．そして，本報では酸化触媒上のHCの酸化反応に及ぼす濃度および種類の影響を実験的に明らかにしたのでこれを報告する．