車体振動に対して最適な抵抗力を持つダンパーの選定手法の確立(第1報）: 伝達関数合成法による実車の振動低減効果予測

摘要

自動車フレームの振動は，乗り心地や運動性能に大きな影響を与えるため，その低減が強く望まれている．しかし，車体フレームの振動振幅は非常に小さいため，従来の構造の粘性ダンパーでは十分な制振効果は得られない．この問題を解決するために，クーロン摩擦力特性に類似した速度に依らずほぼ一定の減衰力を発生できる機構を内蔵した非線形特性を持つダンパーが開発され，既に実用に供せられている．しかし，所望の減衰力を有する制振器の選定（決定）はドライバーの官能評価に頼っているのが現状である．近年，固体のクーロン摩擦を利用した非線形ダンパーも報告され，車体制振ダンパーに関しても各社が研究を進めており，車体フレームの振動低減はさらに注目を集めているといえる．