長期運用に伴う土壌熱交換システムの予冷·予熱特性の把握－流れ場の計算負荷を低減した非定常CFD解析による検討

摘要

近年、省エネ手法の一つとして土壌の恒温性を利用し、外気負荷の削減を目的とする土壌熱交換システムが注目されている。その中でも大規模な建築においては地下ピット方式を採用する事例が多い。これまで筆者らは、実在建物に導入された地下ピットを対象に、実測調査によるシステムの予冷·予熱効果の把握やCFD解析をベースとした長期的な熱交換量の推定手法（非速成解析）の提案を行っている。一方で、システム運用時、夏季·冬季の予冷·予熱量に量的なギャップが生じることを確認、しており、長期にわたり地下ピット経由による外気導入を行うことで、建物周辺の土壌や躯体温度が変動し、システムの予冷·予熱効果に影響を与える可能性が示唆された。しかしながら、年毎に気象条件やシステムの運用条件が変化するため、上記の検討を行うことは困難である。そこで本研究では、前述の非速成解析を用いて、BEMSによる各種物理量の測定·記録が可能な、续工後～2016年までの解祈を行った後、同一な気象条件·運用条件の下、5年間に渡る長期予測を実施し、長期運用に伴う土壌温度の変動やシステムの予冷·予熱特性の検証を行う。