耐久性を有する高性能プラスチック基板型色素増感太陽電池の開発

摘要

電極基板として従来用いられている透明導電性ガラス基板を、透明導電性プラスチック基板に変更することにより、軽量性や柔軟性といった長所を付与することができる。これらの利点により、曲面や建物の壁、工場の屋根など、従来のシリコン太陽電池の設置が困難な場所への設置が可能となり、太陽電池の新たな用途を開発する事ができる。プラスチック基坂を用いたDSCでは、TiO_2光電極の作製に用いる基板の耐熱性が低くガラス基板のように高温焼成が出来ない。そこで、様々な方法が考案され、現在7%を超える変換効率が報告されている。我々は、加熱処理をすることなく室温で加圧処理を用いて光電極を作製し、高い変換効率を達成している。プラスチック基板型DSCの実用化の観点から、電解質溶媒として耐久性の良い高沸点溶媒の3-メトキシプロピオニトリル(MPN)が検討されているが、その性能は5%以下と低い。そこで本研究では、MPN系電解液を用いたプラスチック基板型DSCの高性能化を目的として、新しいセル構造を開発し、そのセル構造がDSCの変換効率に及ぼす影響を検討した。