伝統的建築群の風圧係数分布と通風利用効果の検証(その3)町家の開口パターン変化による室内気流性状への影響

摘要

日本各地には伝統的建築群が数多く残っているが、ライフスタイルの変化から、取り壊しが進み、減少傾向にある。このような伝統的建築群を保全、再生するために、明治大学では岡山県高梁市の伝統的町家の保全·再生を目的とした研究プロジェクトが発足した。本研究は、プロジェクトの一環として、伝統的建築群の特徴である通風に着目し、伝統的建築の特色を生かした適切な改修手法の提案を行うことを目的としている。既報では、岡山県高梁市に現存する町家A邸、F邸の温熱環境実測および風圧係数分布の算出、高梁市の周囲の山岳形状を考慮した流入境界条件の作成と、対象家屋周辺における形状再現性の向上を行った。本報では構造分野から提示された町家の改修案を元にCFDを行い、開口パターンや周辺建物が通風性状に及ぼす影響について検討した結果を報告する。