高循環型リバースサプライチェーンの運用に関する基礎的研究

摘要

不確実な需要の変化に対応するためにサプライチェーンマネジメントが注目されている．従来の系列に代表される固定的なサプライチェーンに対して，本研究グループでは，複数のサプライチェーンを契約ごとに組み替える動的サプライチェーンの研究を進めてきた．既存の研究では，多階層のサプライチェーンを表現するために，Client，Manufacturer，Supplierからなる三階層モデルを提案し，交渉プロセスの提案およびシミュレーションによる評価を行った[1] ．近年，環境問題への意識が高まり，持続可能な社会に向けての取り組みが必要とされている．製造企業においては，グリーン設計等が行われているが，効果的に進められてはいない．この原因の一つとして，使用済み製品の回収量と再生産品の生産量に対する需給のバランスの不備が挙げられる．すなわち，製造企業が必要な時に効率よく製品を回収し，再利用できることが重要となる．そこで，本研究では，まず，既存の三階層モデルを拡張し，使用済み製品を回収し，分解再生処理を行い，再生部品を供給する新たな要素モデルを追加した，リバースサプライチェーンモデルを提案する．次に，このモデルを用いて，製品を効果的に回収し，再生産を行う運用方法について検討する．