CRPS 治療システムの臨場感と操作性改善効果の個人的特性を考慮した評価手法

摘要

複合性局所疼痛症候群(Complex regional pain syndrome : CRPS)は骨折や外傷を発端として慢性的な痛みが生じる症状である.現在，このCRPS の治療手法の1 つに認知的アプローチによる治療装置の開発や治療が進められている．この治療手法はVirtual Reality based Mirror Visual Feedback (VR/MVF) therapy と呼ばれている．このような治療装置の改良段階で,改良の前と後を同じ母集団で評価するとき，被験者の学習効果を考慮して母集団を改良前を先に使うグループと改良後を先に使うグループの2 つのグループに分けることが多い．これにより被験者の学習効果を考慮して装置を評価できる．しかしながら，文献[2]の装置は同じセンシング装置とタスクで提示映像が異なるだけであるため後に使った装置の評価が高い傾向にあった．この問題を解決するためには，異なる母集団がそれぞれ別の装置を使って評価することが考えられる．異なる母集団で評価する場合，同じ母集団での評価と比較して多くの被験者が必要となる．しかしながら，継続的に病院で治療しているCRPS 患者は多くないため評価に適当な数の被験者の確保は困難である．評価に時間がかかかることは治療装置の迅速な改良の妨げとなる．そこで，被験者は健常者とし,さらに異なる母集団で治療効果を確認できることが望ましいと考えられる．