110mハードル選手の競技特異的特徴：股関節屈筋·伸筋群の形態及び筋出力について

摘要

短距離種目において，男子の110mハードルおよび女子の100mハードルなどのハードル種目は走路に障害物が並hでいる点で，他の短距離走種目とは大きく異なる．とりわけ，110mハードル選手は，走路に106.7cmの高さの障害物が短い間隔で設置されているという点で，通常の短距離走とは異なった技術（つまりハードリング技術）が必要になる．ハードル種目は，ハードルの踏切から着地までの局面であるハードリング局面と，着地から踏切までの局面であるインターバル局面を繰り返す競技である（宮下，1991）．このようなハードリング技術には踏み切り，空中動作（クリアランスを含む），着地といった動作がある．その空中動作において、股関節を屈曲させながらハードルを跨ぎ越し，その後，股関節を伸展させながら大きく振り下ろしをする脚をリード脚と呼ぶ．これに対して，踏み切ってから股関節を外転，外旋させ，前方に大きく回し，かつ膝関節の屈曲伸展を行う脚を抜き脚と呼ぶ．110mハードル競技では，これらのリード脚と抜き脚は選手毎に固定されている．