データセンタ向け間接外気冷房型空冷パッケージ空調機の開発

摘要

近年，データセンタにおける消費電力量は，増加傾向にあり，消費電力量の削減が強く求められている．データセンタにおける空調は，冷却対象であるICT 装置から発生する発熱が非常に大きいことから，年間を通じた運用となる．そのため，年間消費電力量削減に向けては，中間期から冬期の低温外気を有効に利用することが，非常に重要である．低温外気の利用方式としては，直接外気を室内へ導入する「直接外気冷房」と熱交換器等を通じて間接的に外気冷熱を利用する「間接外気冷房」に分けられる．「直接外気冷房」は，日本国内では，年間を通じて外気のみでの運用が難しいため，熱源機器を備えた他の空調設備を併設することが一般的であり，空調設備の二重投資に伴う構築費用の増加が問題となる．また，外気を大量に直接室内に導入するため，室内空気質が悪化し，ICT 装置に影響を与えることも懸念される．そこで我々は，「直接外気冷房」の問題を回避するため，「間接外気冷房」方式を採用することとし，冷媒ポンプを併用した間接外気冷房型パッケージ空調機を開発した．開発した空調機は，圧縮機を使った圧縮サイクルと，圧縮機を停止し，ポンプにより冷媒を循環させるポンプサイクルを併設し，外気温度等の諸条件により，サイクルを切り替えて運転する特徴がある．本報では，構築した数理モデルの妥当性検討と，外気温度に対する空調機の特性について検討を行う．また，シミュレーションにより，年間での消費エネルギーの削減効果を試算する．