狭い空間内における可燃性固体の燃え拡がり挙動と対流場

摘要

汚染を管理·防止する必要のある区画では，改修や改造工事を行う際，床や壁をシートで覆うことが行われる．床に敷いたシートと床面に間隙（狭い空間）ができ，そこに溶接時の切りくずなどの高温熱源が落下すると，発火し燃え拡がり火災を引き起こすことがある．また，狭い空間内で，周囲への熱損失が大きい場合や，燃焼に必要な酸化剤と排気の流れを維持することができない場合などに火炎は消炎し，生成した未燃焼ガスによる煙が大量に発生することが知られている．前報で著者らは狭い空間内に設置した燃料（ろ紙）の燃え拡がりについて自然対流下で実験を行い，燃料への着火条件と燃え拡がりの関係について検討した．また，ORY ZIK らは狭い空間内に強制的に酸化剤を供給し膏旨状に燃え拡がるフィンガリング現象を報告している．なお，このフィンガリングは本研究でも観察された．このような狭い空間内の燃え拡がりでは，物質拡散現象ぉよび流れ場など，複雑に現象が絡み合うため詳細なメカニズムは分かっていない．本研究では自然対流下において，燃え拡がり挙動および対流場への，燃料上下の間隙高さの影響を実験的に検討した．