ナノ粒子懸濁液のエネルギー輸送機構に関する分子動力学的研究

摘要

ナノ粒子を懸濁させた液体は，懸濁前の液体と比較した場合，有効熱伝導率が有意に変化すると報告されており，ナノ粒子懸濁液の熱物性やエネルギー輸送機構の調査が行われている．先行研究では，液体分子とナノ粒子間の相互作用強さと有効熱伝導率に正の相関があること，液体分子とナノ粒子間の相互作用強さが変化すると有効熱伝導率への液体ならびにナノ粒子による寄与割合がともに変化することが報告されている．有効熱伝導率への液体による寄与の変化は，ナノ粒子に吸着した液体分子に起因すると考察した研究が存在するが，その影響はいまだ明らかになっていない．そこで本研究では，非平衡分子動力法を用いて，ナノ粒子に吸着した液体分子の有効熱伝導率への寄与について，分子スケールのエネルギー輸送機構の锡点から調査を行った．