傾斜ティアドロップディンプルを敷設したガスタービン翼後縁部カットバック面フィルム冷却のLES解析

摘要

ガスタービンの高効率化に伴い，タービン入口ガス温度の高温化が進み，タービン翼の効果的な冷却が必須となっている．タービン翼後縁部は，厚みが薄く，内部冷却が困難である．そのため，冷却流空気をカットバック面に吹き出すことで熱遮蔽すると同時に，対流熱伝達により冷却を行うフィルム冷却が採用されている．カットバック面での伝熱促進方法として，ディンプル（凹み）を敷設する方法があり，ティアドロップ形状のディンプル面ではフィルム熱遮蔽性能の低下が抑制されると同時に，冷却（熱伝達）性能の上昇が報告されている．また，ティアドロップディンプルの長軸を流れ方向から傾けることで二次流れが誘起され，二次流れによる伝熱促進効果が期待される．著者らのグループはこれまでに本問題に対して，三次元熱伝導を考慮した過渡応答法による伝熱計測，粒子画像流速計による速度3成分計測，Large Eddy Simuation（LES）による数値解析を行ってきた．本研究では，カットバック面形状を，平滑，傾斜なしティアドロップディンプルstaggered配列（以下傾斜なしまたは0度），ディンプル面全体を30度回転させた30度傾斜in-line配列（以下30度in-line），さらに配列をstaggered配列に変更した30度傾斜staggered配列（以下30度staggered）の4種類のカットバック面でのフィルム冷却流をLES解析し，ティアドロップディンプルの傾斜と配列がフィルム冷却総合性能に与える影響を評価した．