垂直配向単層カーボンナノチューブ膜の色素増感型太陽電池電極への応用

摘要

単層カーボンナノチューブ（SWNT：single-walled carbon nanotube）は炭素同素体の一種であり，グラフェンシート一層からなる円筒状の構造物である．炭素間sp~2 共有結合に由来する高い機械的強度や，チューブの巻き方（カイラリティ）による電子的特性の変化，軸方向への熱伝導性の高さなど，極めて特徴的な物性を有することから新世代の素材として，電子デバイスなどへの応用が期待されている．本研究室ではアルコールを炭素源とした触媒CVD法(ACCVD法)により，石英やシリコン基板上に垂直配向膜としてSWNT を合成することに成功している(VA-SWNT: vertically aligned SWNT)．SWNT のデバイスへの応用にはカイラリティ制御など克服すべき課題があるが，複数のカイラリティの混在するVA-SWNT膜の，炭素材料として性能の評価も重要である．本研究ではデバイス応用への試みとして，ACCVD 法により合成されたVA-SWNT膜を対極材料として応用した色素増感型太陽電池セルを試作し，その特性評価を行った．