プラスチック成形材表面への銀の吸着とその殺菌効果

摘要

現在、医薬向け容器や食品容器（袋形、箱形、皿形、カップ形、ボトル形等）および各種包装材においては、その殺菌処理としてガンマー線や電子線照射法が採用され、またその一方では、それらの容器や包装材そのものに、抗菌性を付与させ、抗菌効果を持続させる機能性容器の開発、特に銀系抗菌性プラスチック製品の開発が活発に進められている。そこでの銀の担持体としては大半がケイ酸塩系のゼオライトやシリカであり、その製法はそれらを樹脂に添加するか、あるいはプラスチック成形体の表面に塗膜で被覆する方法がほとhどである。これに対して、本テーマと関連して、前報では、低温プラズマを用いて、直接に加工後のプラスチック成形体（ポリスチレン製のシャーレ）に照射して、親水性の促進とその表面に銀を担持させた。そして水との接触時には高濃度（約5.0ppm）の銀イオンの発現があり、その銀イオン水による殺菌効果が一般生菌の培養·コロニー検査で確認された。本報は、ポリスチレン（PS)の他に、ポリブテン（PB）、ポリエチレンテレフタレート（PET）および現在実用化され、製品として販売されている中空糸膜ろ過材（PE）の表面に対して、同様な手法で、どの程度銀が担持されるか、またその銀担持体とのドライな接触では、ウェット接触と比べどの程度の殺菌効果が得られるかについて調べたものである。