微動アレイ探査と反射法地震探査による 大阪平野北部の統合地下速度構造モデル

摘要

大阪平野北部に位置する北摂地域において，地溝帯である芋川低地(KYN)と丘陵地形の千里丘陵(SBN)の2地点で最大アレイ半(経)がそれぞれ約0.1kmと0.5kmの微動アレイ探査を実施し，S波速度構造モデルを推定した.ただし，微動アレイ探査で得られた観測位相速度の最大限界が1.4km/s〜2km/s程度であったため，地震基盤相当(Vs=3km/s前後)の上面深度の推定精度はあまり高くなかった.このため，深部の地下皿構造のモデル化では観測点付近で実施された探査仕様が異なる2つの反射法探査データを組み合わせて再解析した結果を用いた.その結果，芋川低地において地震基盤相当(S波速度が3km/s以上)の上面深度は約1km,一方，千里丘陵では約0.6kmであり，小野原断(層)を境に芋川低地と千里丘陵の深部の地下構造が大きく異なつていることがわかった.また，(公財)髓総合技術研究所による地震観測点付近において深さ約0.3km以浅の極浅部の地下速度構造の推定を目的に最大アレイ半経が約0.03kmの極小微動アレイ探査を実施した.芋川低地と千里丘陵で実施した極小微動アレイ探査から，S波速度が約0.5km/s以下の堆積(層)の(層)厚が，小野原断(層)を境に芋川低地では0.2km gitであるのに対して，千里丘陵では約0.1km以下で大きく異なってレ、ることがわかった.