MCMC法を用いたレイリー波位相速度の逆解析による 関東平野の深部地盤構造の推定

摘要

関東平野での既存の微動探査による104地点でのレイリ一波位相速度データにMCMC法に基づく逆解析方法を適用し，深部地盤の1次元S波速度構造モデルとその推定誤差も評価した.深部の地(層)ほど，深度の推定誤差が大きくなつている.各点のモデルを接続し複数の測線での2次元構造モデルも推定した.平野中央部での本研究と既存の結果は，ほぼ同であるが，盆地端部では，モデルの推定誤差を考慮しても両者には有意な差異があった.これらの不一致の原因のーつは，位相速度の周期範囲が限定されていることにある.微動を用いているので，位相速度の周期範囲には，本質的な限界があると考えられる.したがって，他の物理量との同時逆解析などによって，深部においても精度の高いモデルを推定することが望ましいと考えられる.今後は，これらのモデルのばらつきが地震動特性に及ぼす影響を検討する予定である.