結合音による自動車車内音のサウンドデザインに関する検討

摘要

自動車の騒音対策が重視され，静音性の高い次世代自動車が普及し始めている．しかし，静音による安全性や商品の差別化が困難になるなどの課題も挙げられる．その中でエンジン音質は，人とクルマのインタラクションやドライバへの印象，パフォーマンスに影響を与える重要な要因であり，人間の感性に基づいたサウンドデザインが必要となってくる．これまで車内音のデザインとして，自動車の乗車シーンにおける聴感印象の解析，自動車加速音の次数成分変化の聴感印象評価等検討し，低周波音を聞かせることでワクワク感やスポーティ感といった印象を高めることができる可能性を示唆した．しかし，低周波数を強調するエンジン音を実際に設計すると，共振が発生し静粛性を保つことが難しい．そこで，本報告では重低音のエンジン音を車室内で生成される歪み音である結合音の利用を考え，低周波音を実際に出力せずに脳に直接響かせる方法を検討した．