観測データに基づく瀬戸内地域におけるPM_(2.5) 濃度特性の解析

摘要

近年、日本国内におけるPM_(2.5) による汚染状況には改善がみられ、一般環境局の環境基準達成率は2013 年の16.1%から2018 年の93.5%へと上昇し、年平均値についても2013 年以降緩やかな改善傾向にある（環境省、2020）。これは、中国大陸での大気汚染対策による越境大気汚染の低減の影響が考えられる。一方で、依然として瀬戸内地域はPM_(2.5) 環境基準達成率が低く、岡山県と香川県は、2018 年度にはPM_(2.5) 環境基準達成率がそれぞれ38.9%と66.7%であった。また、PM_(2.5) 濃度の高い上位10 局（一般局）もこの二県に位置する測定局がこれまで多くを占めてきており、これらの測定局はいずれも瀬戸内地域に位置している。従って、瀬戸内地域は我が国におけるPM_(2.5) 汚染対策において重要である。瀬戸内地域では多くの船舶が航行し、沿岸には大規模な固定発生源が存在することから、これらの影響を強く受けていることが推察されるものの、瀬戸内地域における高濃度PM_(2.5) の発生要因は未解明である。本研究では、瀬戸内地域のPM_(2.5) 汚染特性の把握を目的として、大気常時監視データを解析し地域間の比較を行った。