誘電体ナノキューブ集積体の作製法の検討およびその誘電特性

摘要

IoT や ICT を取り入れた次世代社会の構築に向け、電子材料の分野では引き続き小型化や高性能化が追及されるものと考えられる。我々は誘電材料において、内部応力による結晶格子歪が誘電特性の向上に繋がった例に着目し、チタン酸バリウム（BaTiO_3、BT）とニオブ酸系のペロブスカイト型化合物のエピタキシャル接合により、接合界面への歪を高密度で導入する材料設計を提案してきた。各ペロブスカイト型化合物について、均一なサイズの立方体状ナノ結晶（ナノキューブ）を合成し、三次元的に交互にエピタキシャル接合させたナノ構造体を作製できれば、高密度の界面歪によるナノ粒子の誘電特性向上が可能になると考えられる。我々は高温熱処理を必要としない、サイズが均一な BT ナノキューブ集積体の作製にあたり、修飾剤を用いないソルボサーマル合成およびミリオーダーの集積が可能な二液相分離法を提案し、相対密度が低いものの誘電特性の測定が可能な試料を作製するに至った。他の系も含めナノキューブ集積体に関する研究状況について報告する。