可視化技術を用いた遠隔相談施設設営の事例

摘要

本稿では、子連れの母親向けに遠隔で相談を行う施設「プライベート児童館」の設置についての事例紹介を行う。母親が子育て中の悩みなどについて相談を行う場所として、全国各地に子育てサロンと呼ばれる施設が存在する。子育てサロンはそのスタッフや他の子育て中の母親たちとコミュニケーションを図ることで、育児に関する悩みの解消や育児中の気分転換を行う場となっている。しかしながら昨今の新型コロナウイルス感染拡大の状況においては、外出自粛要請や感染予防のために実際に対面しての相談などのコミュニケーションを取ることが難しい状況がある。そこで、本研究ではテレビ会議システムを用いて遠隔で相談などを行える「プライベート児童館」設置の実験を行った。外出自粛要請中でも生活必需品の購入については必要最低限の外出として自粛要請の対象ではなかったため、ショッピングセンターに併設する休止中の子育てサロンを利用し、買い物に来た母親が子供を遊ばせながら気軽に子育ての相談などを行える場として提供した。基本的にはサロンは無人とし、利用者側は難しい操作などを必要とせずに対面と同じように相談をテレビ会議システムを通じて行うことができる場を目標として機材の設置などを行った。実験では約1 ヶ月の間「プライベート児童館」を開設し、利用者および相談スタッフの利用時の乾燥により、対面での相談と比較してのネットワークを介した子育て相談の利点・欠点などを示す。