高速ヘビーシンプル架線の架線状態最適化に関する研究

摘要

高速HS架線は、従来のHC架線と異なる架線特性を持つため、より注意して架線状態を観察し管理する必要がある一方、HC架線と比較し架線調整が容易でより適切に性能を発揮することが可能な架線でもある。本研究では、数年間にわたって地道な測定を繰り返して得られた、架線静高さ実測結果及び試験車データ等に基づき、高速HS架線における今後の保全に資する成果として施工時期の気温に応じたプレサグ量適正値を導出した。またOL構成の変化に伴う保全上の課題とAD線差管理の重要性についても触れた。なおプレサグ量適正値については、今年度の東海道新幹線関西地区の高速HS架線化工事に適用を開始している。本研究ではプレサグを径間中央に設定し検討を進めてきたが、架線シミュレーションによると更なる高速域では径間後方にプレサグ位置を変更した方がより離線率等が低減できるとの結果もある。今後も高速HS架線の特性把握のためのデータを蓄積、分析し、保全上の諸課題の検証、改善や新たな課題発見、解決していくことにより、東海道新幹線により最適な架線とするべく進化を追求していく。最後に研究に際して鉄道総合技術研究所をはじめ多くの関係者の支援をいただいたことに対し改めて御礼申し上げる。