電源周波数境界区間における軌道電圧調整方法の検討

摘要

中央本線長坂～青柳間(以下、境界区間という)の列車検知装置は商用軌道回路を用いており、その電源は変電所からの電源送電方向により使用周波数が50Hzと60Hzへ交互に切替わる特殊な区間(図1)となっている。商用軌道回路は、インピーダンスボンド(以下、ZBという)へ周波数に適したコンデンサで共振させてパワーアップしており、境界区間では50Hz時が15μF、60Hz時が10.5μFとなる。先に述べた理由から、周波数変化に対応した共振コンデンサが必要となるためFVC(図2)という機器を用いている。FVCは、周波数に応じて自動的にコンデンサを付加する機能を持ち、60Hz時の10.5μFをベースに、50Hzになると自動的に4.5μFを付加して15μFとなるよう共振コンデンサ容量を調整している。しかし、軌道電圧及び位相の変化に関しては補正できる機器がなく、50Hz時から60Hz時の軌道電圧及び位相の変化量に関する指標もなかったことから、社内の標準的な軌道電圧の基準値から外れてしまうことがあっても軌道電圧値を高めに調整して不正落下を防いできた。このように電圧調整が困難であったことから、本研究では各箇所のデータを測定し、電源周波数の変化による軌道電圧及び位相の変化について考察することで、変化の倍率を考慮した指標を定め適正な調整方法について検討する。