酸化亜鉛バリスタ: 雷を吸う石、その誕生と成長発展の軌跡

摘要

1968年に我が国において世界で初めて開発実用化に成功した「酸化亜鉛（ZnO)バリスタ」は、特定の添加物を含むZnO焼結体に発現する新しい「粒界現象」を応用したセラミックバリスタ（「バリスタ」は、電圧安定化、サージ吸収や避雷器の特性要素などに用いられる非オーム性抵抗素子の総称）で、これまでに類を見ない急峻な立ち上りの電圧-電流特性と極めて大きなサージ耐量を有し、主に雷サージ、開閉サージや静電気などの過渡異常高電圧への対策に広く用いられている。そしてZnOバリスタは、時代の変革から生まれた「新しいニーズ」（電子機器の半導体化の進展や、安全性、信頼性重視の流れ）に対し、「新しいシーズ」（新現象の発見）で的確に、且つタイミングよく応えた事例として世の中に定着し、「高度情報社会」と「エネルギー社会」の安全性と信頼性の確立に大きく貢献している。