集約車両感知器情報による異常検出手法の検討

摘要

社会インフラの一端を担う道路交通管制システムは、交通情報の収集提供を行うだけでなく、都市部を中心に過度に集中する車両等の流れを効率よくコントロールする交通信号制御を行っている。道路の混雑状況を的確に把握し、渋滞の発生を抑制するとともに最適な交通信号制御を行うためには、都市部に縦横に広がる道路網に車両感知器と呼ぶ車の通過状況を検知する装置を数多く配置する必要がある。実際、車両感知器総数の3分の2を占める超音波式車両感知器は全国都市部を中心に13万基以上設置されている。これらの車両感知器から精度の高いデータ収集を行うため、保守点検業務を定期的に行いその機能の保全を行つている。しかしながら、老朽化した車両感知器も数多くあり、頻繁に故障修理を必要とする状況であり、既に障害を発生している車両感知器の存在も見逃せない。車両感知器は目視だけによる異常発見は困難で、収集したデータの検知の有無とあわせて、実際の走行車両の有無を確認する方法で異常を判断し、故障修理を行っている。超音波式車両感知器はデータ精度の低下を伴いながら少しずつ、劣化故障するケースが多いが、システムとして早期に故障を検出する手法は確立されているとは言い難い。超音波式車両感知器を対象に上述のような故障を早期検出できる効率的かつ効果的な手法の開発が期待される。本稿では交通量、占有時間を集約し、統計的な数値から、劣化異常を検出することを目的とする。